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原状回復ガイドラインとは?退去時のトラブル対策!!

原状回復ガイドラインとは?退去時のトラブル対策!!

そもそも原状回復とは?

国土交通省は原状回復について、「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損(きそん)を復旧すること」と定義しています。

要するに、賃貸物件に生じた賃借人の故意、過失等による、汚れや傷を契約終了時に回復させることです。

☆借主の原状回復対象(通常使用の結果とはいえないケース)

・わざと壊した

・不注意で傷を付けた(家具の移動中等の床やクロスの傷(剥がれ))

・清掃を怠り放置したことで拡大したカビや水あかなど

・落書き

・ペットによる引っかきキズや染みついた臭い

・画鋲やピンの穴(※クロスの奥(下地ボード)が損傷するほどひどい使い方をした場合)

☆貸主の原状回復対象

・経過年数が増えることで建物や設備の品質が低下する「経年劣化

 日照で起こる壁紙や床の変色

寿命による設備の故障

画鋲やピンの穴(※クロスの奥(下地ボード)の張替えが不要な程度のもの)

・普通に生活していても傷や汚れが付いてしまう「通常損耗

 家具の重みでできたへこみ

 テレビや冷蔵庫の電気焼けなど 

退去時に借主が負担する原状回復費用については、「経年劣化」や「通常損耗」ときちんと区別する必要があります。

それぞれの原状回復対象についてですが、状況、程度によって負担が変わる可能性もございます。

耐用年数も踏まえて、退去時の残存価値を考慮する必要もあり、単純に新品に置き換える費用や、修繕費用の全額となるわけではございません。

原状回復ガイドラインとは?

国土交通省が退去時のトラブルを未然に防ぐことを目的に、公表したのが「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」です(平成10年に公表)。ガイドライン公表後も原状回復費用の借主負担と貸主負担、それぞれの負担割合についてのトラブルが続いたため、平成16年2月及び平成23年8月には、裁判事例及びQ&Aの追加などの改訂を行っています。

また、退去時の原状回復・入居中の修繕の費用負担の原則について、賃貸借契約の際に重要事項として、仲介や代理を行う不動産会社が説明することを義務付けています。

ガイドライン公表後も多発するトラブル、改正民法による原状回復義務の明確化

2020年4月1日施行の改正民法により、トラブルになりがちだった敷金の取り扱いの部分が法律でも明確化されました。

改正民法第621条(賃借人の原状回復義務)で、借主は入居後に生じた損傷(通常の使用や経年変化を除く)がある場合に、賃貸借の終了時に原状に戻す義務があるとされています。原状回復ガイドラインの考え方が、法律上のルールとして、以降の賃貸借契約書に反映されることになりました。

原状回復のトラブルについて代表的なものは下記となります。

~よくあるトラブル~

 ガイドライントラブル内容(借主の認識)トラブル回避
ハウスクリーニング借主が通常の清掃を行ったのちに退去した場合の室内清掃費用は 貸主の負担引越しの際に綺麗に掃除をすれば、ルームクリーニング費用は請求されないと認識してしまうルームクリーニング費用については「特約」として規定することによって、退去時に借主に請求することができる。 敷金から差し引く場合はその旨記載がないと無効になることもある
床のヘコミ通常使用(フローリングの少しのへこみ、家具設置跡)は賃貸人、 フローリングのえぐれ、家電から出た水を放置したことによってできたシミは賃借人もともとあった傷だから知らない。→居住年数が長かったりすると、当時の状況の証明が不可能 →泥沼化現況確認書の作成(入居時の状況を記録しておく) 借主、管理会社(貸主)双方が入居時、退去時のタイミングで写真に記録をしておくことも有効的
クロスのシミクロスの内側(壁の中側)から発生したものに関しては、賃貸人負担 クロスの表面にできてしまったシミに関しては入居者負担修繕面積の認識トラブル。 借主;汚してしまったところだけの修繕による原復 管理会社(貸主):色の違い等で見栄えが悪くなるから1面ごとに修繕したい。特約にクロスの修繕は面ごとと記載をすることで修繕する壁の面の張替えが有効となる。  

※あくまでも一部となり、記載内容以外にも設備等に関し様々なトラブルが発生しています。

トラブル回避に役立つ?原状回復の特約

賃貸借契約書に特約(必要に応じて設けられている契約のオプションのようなもの)が記載されていることがあります。この特約に原状回復ガイドラインと異なる内容があっても、契約時に借主と貸主が合意していれば、そちらが優先されるため注意が必要です。個別の契約では特約の条項が優先するとされているためです。

☆特約の注意点☆

  • 金額が異常に高額、通常使用による損耗も原状回復の対象になるなど、明らかに賃借人に不利な特約は無効
  • 貸主・借主の合意のもとで自由に設定することが可能ですが、特約を設ける必要性や負担範囲などを契約書に明記する
  • あいまいな内容や表現を避け、双方が誤解する記載をしない

(貸主、借主それぞれの負担割合や単価が決まっているものに関しては金額を明記する)

☆特約例☆

ハウスクリーニング

「・退去時ハウスクリーニング代として25,000円(税別)を、借主は貸主に支払うものとする。」

 鍵交換

「・鍵を紛失した場合・退去時に返還出来ない場合は交換費用として10,000円(税別)必要とする)

クロスについて

「・借主によるカビやタバコのヤニ等でクロスの損耗・変色がある場合の原状回復費は借主が全額負担するものとする。」

画鋲の穴について

「画鋲の使用を禁止とする」

「画鋲等の使用により、クロスの内側にある下地ボードの貼り替えが必要となる場合は借主の負担により原状回復するものとする。」 等

画鋲やピンの穴など程度によって、修繕費用負担者が変わるような内容についてはあらかじめ特約に記載することでトラブル回避をすることができるということです。

何でもかんでも通常使用の範囲や経年劣化とされては賃貸人も大変なので、特約をうまく使用することで賃貸人の負担も少なくしていきましょう。

まとめ

原状回復、ガイドラインについてお伝えしましたが、いかがでしょうか。

トラブルを避けるためには双方の合意が大前提となります。契約時に、書面と併せて、仲介業者からの重要事項での説明も大切です。

契約書であらかじめ判断に相違が起こりそうなところを明確に提示し、ご納得いただいたうえでご入居頂き、退去時のトラブルを防ぎましょう。万が一トラブルとなった時の為に、弊社では各担当者、ガイドラインの内容を把握し、入居者様と貸主様の橋渡しとなるよう努めております。

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