賃貸不動産を相続したものの、「何から手を付ければいいのか分からない」「入居者対応や契約はそのままでいいのか」と不安を感じるオーナー様は少なくありません。相続による不動産承継では、名義変更・賃貸借契約・日常管理の3点を正しく整理しないと、後々のトラブルにつながる可能性があります。
本コラムでは、不動産管理会社の視点から、相続で賃貸物件を引き継いだ際に必要な実務と注意点を、順を追って解説します。

1.まず行うべき「不動産の名義変更」
相続登記は最優先事項
賃貸不動産を相続した場合、最初に行うべきなのが**相続登記(所有権移転登記)**です。2024年から相続登記は義務化され、正当な理由なく放置すると過料の対象となります。
- 遺言書の有無を確認
- 遺産分割協議書の作成(相続人が複数の場合)
- 登記申請(司法書士へ依頼するのが一般的)
名義が被相続人のままだと、賃料の受け取りや売却、融資の相談などがスムーズに進みません。
共有名義のリスク
相続人が複数いる場合、共有名義となるケースがあります。共有は意思決定が煩雑になりやすく、将来的な管理や処分の妨げになるため、可能であれば単独名義に整理することをおすすめします。
2.賃貸借契約はどうなる?引き継ぎの基本
契約は原則「そのまま承継」
賃貸借契約は、オーナーが変わっても契約内容自体は自動的に承継されます。入居者と再契約を結ぶ必要はありません。
- 賃料
- 契約期間
- 敷金・礼金
- 特約条項
これらは被相続人時代の条件が引き継がれます。
入居者への通知は必須
法的には契約は有効ですが、実務上はオーナー変更の通知を必ず行いましょう。
- 新オーナーの氏名
- 賃料の振込先
- 管理会社の連絡先(変更がある場合)
通知を怠ると、賃料未払い・連絡不能といったトラブルの原因になります。
3.敷金・保証金の扱いに注意
敷金や保証金は「預り金」であり、将来返還義務を負うものです。
相続時には、敷金返還債務も相続される点に注意が必要です。
- 敷金の金額を契約書で再確認
- 相続税申告時の扱いに注意
- 被相続人の口座に残っていない場合も返還義務は消えない
管理会社に委託している場合は、敷金管理方法を必ず確認しましょう。
4.管理体制の見直しと引き継ぎ
自主管理か委託管理か
相続を機に、管理方法を見直すオーナー様も多くいらっしゃいます。
- 遠方に住んでいる
- 賃貸経営の経験がない
- 入居者対応に不安がある
このような場合は、管理会社への委託が現実的です。
管理委託契約の確認ポイント
既に管理会社が入っている場合は、以下を確認しましょう。
- 管理委託契約は誰名義か
- 報酬率・業務範囲
- 解約条件
名義変更が必要なケースも多く、放置すると管理上の責任の所在が曖昧になります。
5.相続後に起こりやすいトラブル事例
賃料の振込先変更が伝わっていない
→ 入居者は善意で旧口座に振り込み、未払い扱いになるケース。
修繕やクレーム対応が遅れる
→ オーナー交代後の連絡体制が不十分だと、入居者満足度が低下し、退去につながります。
相続人間で方針がまとまらない
→ 売却・継続・リフォームなどの判断が遅れ、収益性が悪化。
6.税務面の基礎知識も押さえる
- 相続税の申告期限は10か月以内
- 賃料収入は相続後、相続人の不動産所得
- 減価償却の引き継ぎに注意
税理士と連携し、早めに全体像を整理することが重要です。
7.管理会社としてオーナー様にお伝えしたいこと
相続による賃貸経営の承継は、「知らなかった」では済まされない実務が多く存在します。
名義変更・契約整理・管理体制の再構築を初動で正しく行うことが、安定経営への近道です。
不安な点は一人で抱え込まず、司法書士・税理士・不動産管理会社などの専門家をうまく活用しましょう。

まとめ
- 相続登記は最優先
- 賃貸借契約は原則承継されるが通知は必須
- 敷金・管理契約・税務の確認を忘れない
- 管理体制の見直しがトラブル防止につながる
相続はゴールではなく、賃貸経営の新たなスタートです。正しい知識と準備で、次世代へ安定した資産を引き継いでいきましょう。私どもLCマネジメントでは、不動産の専門家として管理委託から売却までオーナー様の大切な資産を有効に活用するための提案を行っております。
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