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賃貸アパートで民泊を始める際に管理上の注意点や成功のポイントを解説
賃貸アパートで民泊を始める際に管理上の注意点や成功のポイントを解説
大阪は今、日本国内でも有数の観光・ビジネス拠点として注目されています。道頓堀や新世界などの観光地、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンといったテーマパーク、さらには大阪・関西万博を控えた国際的なイベント需要が見込まれています。こうした背景から、宿泊需要は今後も増加が見込まれ、空室を抱えるマンション・アパートオーナー様にとって「民泊」という新しい選択肢は魅力的に映るでしょう。
しかし、民泊は単純に「部屋を貸すだけ」では成功しません。法的規制、管理リスク、近隣住民への配慮、そして収益性のシミュレーションといった要素をしっかりと理解した上で運営する必要があります。本コラムでは、大阪で賃貸マンション・アパートを所有するオーナー様に向けて、民泊を始める際の管理上の注意点や成功のポイントを、専門的な視点からわかりやすく解説いたします。

1. 民泊を取り巻く制度的枠組み
①住宅宿泊事業法(民泊新法)
2018年に施行された住宅宿泊事業法は、これまでグレーゾーンとされてきた民泊を正式に制度化しました。オーナー様が自ら運営する場合、以下の義務を負います。
- 届出の提出と登録番号の取得
- 年間営業日数180日以内の制限
- 標識の掲示(宿泊施設である旨を示す表示)
- 宿泊者名簿の作成・保存(外国人はパスポートコピーも必要)
- 近隣住民への事前周知
「半年しか貸せない」という点が、通常賃貸との大きな違いであり、収益計画に影響を及ぼします。
②旅館業法(簡易宿所営業)
より自由度の高い営業を行いたい場合は、旅館業法に基づく「簡易宿所営業」の許可を取得する方法もあります。この場合、営業日数制限はなく、年間を通して稼働が可能です。ただし、消防法・建築基準法の適合、用途変更の手続きが必要になる場合があり、初期コストやハードルは高めです。
③自治体条例
大阪市や堺市など、自治体ごとに上乗せ規制があります。たとえば「住宅密集地での営業禁止」「管理者の設置義務」「最低宿泊日数の設定」など。オーナー様にとっては、物件所在地の条例を正確に確認することが第一歩となります。
2. 管理上の注意点
① 適法性を担保する
無届営業はリスクが極めて高く、行政指導や営業停止だけでなく、近隣住民や入居者との信頼関係を損なう恐れがあります。賃貸物件を所有するオーナー様にとって、資産価値やブランドに直結するため、法令遵守は最優先課題です。
② 近隣トラブルを防ぐ
短期利用者は地域の生活ルールを理解していないため、ゴミ出しや騒音、共用部分の使い方を巡ってトラブルが発生しやすい傾向があります。
- ハウスルールを多言語で掲示
- 鍵はスマートロック化し、不審者の侵入を防止
- 緊急時に対応できる連絡窓口を設置
これらの対策が、物件全体の価値を守ることにつながります。
③ 建物・設備の消耗に備える
短期宿泊者の入れ替わりが多いため、家具や設備の消耗スピードは通常賃貸よりも速いのが現実です。
- 定期点検の実施
- 消耗品・家電の交換スケジュールを計画的に管理
- 修繕費をあらかじめランニングコストに計上
こうした先行投資と維持管理の徹底が、収益を安定させる鍵となります。
④ 保険によるリスクヘッジ
通常の住宅用火災保険では、宿泊事業による損害は補償されないケースが多く見られます。
- 宿泊施設向け火災保険
- 損害賠償責任保険
- 動産保険(家具・家電の破損に対応)
これらを組み合わせることで、予期せぬ事故から資産を守ることができます。
3. 民泊経営の収益モデルとリスク
①収益性の特徴
- 通常賃貸よりも短期的に高い収益が期待できる
- ただし、稼働率に依存するため、シーズナリティ(繁忙期・閑散期)や観光需要の変動に大きく左右される
②支出の特徴
- 清掃費用(宿泊ごとに発生)
- リネン交換・消耗品の補充費
- OTA(Airbnb等のプラットフォーム)手数料
- 光熱費(宿泊者利用に応じて変動)
収入が増えても支出が比例して増える構造であるため、オーナー様が誤解しやすいポイントです。
③シミュレーションの重要性
損益分岐点を把握することは不可欠です。
「宿泊単価×稼働率」で収入を見積もり、固定費・変動費を差し引いた上で黒字となる稼働率を計算する。これにより、長期的な事業継続の可否を判断できます。
4. 成功のポイント
① ターゲティング戦略
ゲスト層を「観光客」「ビジネス利用」「長期滞在者」などに分類し、それぞれに必要な設備や内装を整えることで、他物件との差別化が可能です。
② 管理業務の外部委託
予約受付、顧客対応、清掃手配、法令遵守確認などをすべてオーナー様自身で行うのは現実的ではありません。専門の管理会社に委託することで、
- 高い稼働率の確保
- トラブル対応の迅速化
- 物件価値の維持
が実現できます。
③ 柔軟な運営方針
インバウンド需要は国際情勢に左右されやすいため、
- 通常賃貸と民泊のハイブリッド運用
- 短期→中期→長期への柔軟な切り替え
を視野に入れることが、安定した収益確保につながります。

まとめ
民泊は「空室対策」や「収益拡大」の可能性を秘めた運営手法ですが、その一方で法規制や管理リスクを理解しなければ、かえって資産価値を毀損する恐れもあります。
オーナー様が押さえておくべきポイントは、
- 法令遵守を徹底し、適法スキームを選択すること
- 近隣への配慮を欠かさず、建物全体の価値を守ること
- 収益モデルを正確にシミュレーションすること
- 専門会社と連携し、リスクを最小化すること
「空室の活用を考えている」「民泊に興味はあるが不安もある」というオーナー様は、ぜひお気軽にご相談ください。
私どもLCマネジメントでは、不動産の専門家として管理委託から売却までオーナー様の大切な資産を有効に活用するための提案を行っております。
その他、事業内容・対応等のご相談、マンション管理業務に関するご相談もお気軽にお問い合わせください。
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