― 管理会社が実務目線で解説 ―
近年、「水銀規制」という言葉を耳にする機会が増えています。環境問題として語られることが多いテーマですが、実は賃貸マンション経営とも密接に関係しています。特に共用部や専有部に設置されている蛍光灯は、水銀を含む代表的な製品です。
本コラムでは、水銀規制の背景から賃貸経営への影響、そして今後オーナー様が取るべき実務対応について、解説します。

1.水銀規制の背景と日本の対応
■ 国際的な流れ「水俣条約」
水銀の使用を国際的に規制する枠組みとして採択されたのが、水銀に関する水俣条約です。水俣病という日本の公害問題を契機に制定され、水銀の採掘、輸出入、製品への使用、排出を包括的に管理する条約です。
この条約により、一定量以上の水銀を含む製品の製造・輸出入が段階的に禁止されています。
■ 国内法による規制
日本では、条約を受けて水銀汚染防止法が制定され、水銀含有製品の管理体制が強化されました。照明分野では、一般照明用蛍光ランプなどが規制対象となり、製造・輸入の終了が進んでいます。
ここで重要なのは、「今すぐ既存の蛍光灯が違法になる」という話ではない点です。しかし、製造終了=流通縮小であり、将来的な供給不安は確実に起こります。
2.賃貸マンションにおける影響範囲
■ 共用部への影響
賃貸マンションで水銀製品の影響を最も受けるのは共用部です。
- エントランス
- 廊下
- 階段
- 駐車場
- ゴミ置き場
- 外灯
これらの多くは直管蛍光灯やコンパクト蛍光灯が使用されています。特に築15年以上の物件では、LED化が未実施のケースも多く見受けられます。
■ 専有部への影響
専有部では、キッチンや洗面所に蛍光灯が使用されていることがあります。退去時の原状回復で蛍光灯交換が発生する場合、今後は入手困難や価格上昇が問題になる可能性があります。
3.オーナーが直面する3つの経営リスク
① 維持コストの上昇
蛍光灯の流通量減少に伴い、単価は徐々に上昇します。さらに安定器の故障が増える築年数帯では、部分修理が繰り返され、結果的に割高な維持管理体制になります。
② 管理負担の増加
蛍光灯の寿命は約6,000~12,000時間。LEDは約40,000時間以上といわれています。つまり交換頻度が大きく異なります。
球切れ対応のたびに
- 業者手配
- 高所作業
- 入居者対応
といった管理コストが発生します。
③ 廃棄処理の煩雑さ
蛍光灯は水銀を含むため、一般ごみとして処分できません。自治体ごとの分別ルールに従い、適正処理が必要です。大量更新時には産業廃棄物扱いとなる場合もあります。
4.解決策は「計画的なLED化」
■ LED化のメリット
LEDへ切り替えることで、次のような効果が期待できます。
- 電気代削減(約30~50%削減例も)
- 長寿命化による交換回数減少
- 水銀ゼロで環境配慮
- 即時点灯・ちらつき軽減
- 明るさ向上による物件印象改善
共用部が明るくなることで、防犯性や入居者満足度の向上にもつながります。
5.LED化の方法と注意点
■ 方法は大きく2種類
1.器具ごと交換
2.既存器具を活用しLEDランプへ変更(バイパス工事含む)
どちらが適切かは物件状況によります。築年数が古く安定器が劣化している場合は、器具ごと交換の方が安全かつ合理的です。
■ 法令との整合性
非常灯や誘導灯が絡む場合は、消防法との整合確認が必要です。無資格施工は事故や保険トラブルの原因となるため、専門業者による施工が必須です。
6.投資対効果の考え方
LED化は初期費用が発生しますが、「経費」ではなく「経営改善投資」と考えるべきです。
例として、
- 共用部蛍光灯50本
- 年間電気代削減○万円
- 交換費用削減○万円
と試算すると、数年で回収可能なケースも少なくありません。
さらに、将来的な蛍光灯高騰リスクを回避できる点も見逃せません。
7.今オーナーが取るべき3ステップ
① 共用部照明の現況把握
② 年間交換・修理コストの算出
③ LED化シミュレーションの実施
感覚ではなく、数字で判断することが重要です。
8.水銀規制は“設備更新のきっかけ”
水銀規制は単なる環境問題ではなく、
- 管理コスト見直し
- 修繕計画の再構築
- 物件価値維持
- ESG対応
といった経営戦略と直結します。
特に築20年前後の物件は、外壁・屋上防水などの大規模修繕と設備更新が重なるタイミングです。この機会に照明設備の全面見直しを行うことで、長期的な支出を平準化できます。

まとめ|「使えなくなる前」に動くことが重要
蛍光灯は今すぐ使えなくなるわけではありません。しかし、
- 入手困難
- 価格高騰
- 修理不能
といったリスクは確実に近づいています。
水銀規制は“将来困らないための準備”を促すサインです。
当社では、
- 現地照明調査
- LED化概算見積
- 投資回収シミュレーション
- 段階的更新プラン提案
- ビルメンテナンス管理
まで一括で対応可能です。
照明設備の見直しは、コスト削減と資産価値維持の両立が可能な分野です。ぜひ一度、現状の把握から始めてみてはいかがでしょうか。
私どもLCマネジメントでは、不動産の専門家として管理委託から売却までオーナー様の大切な資産を有効に活用するための提案を行っております。
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