COLUMN
【不動産オーナー様必見】家賃保証会社の滞納時対応フローと注意点
【不動産オーナー様必見】家賃保証会社の滞納時対応フローと注意点
かつて、賃貸契約における家賃保証といえば「連帯保証人」が主流でした。親族などが連帯保証人となり、万が一借主が家賃を滞納した場合には、代わりに支払うというのが一般的な形でした。しかし、社会構造の変化や高齢化、単身世帯の増加により、連帯保証人を確保すること自体が難しい時代になりつつあります。
こうした背景の中で登場したのが、「家賃保証会社」という新しい保証の仕組みです。近年では、もはや「連帯保証人より保証会社を利用する方が一般的」という状況となり、賃貸契約における標準仕様と化しています。
しかし、「保証会社をつけていれば、何かあっても安心」というのは、決して全てをカバーした“完全な保険”ではありません。実際には、オーナー側の対応一つで、保証が無効になるリスクも存在します。保証の仕組みを正しく理解し、適切に活用してこそ、その恩恵を最大限に受けられるのです。

1.家賃保証会社とは?その役割と限界
● 家賃保証会社の仕組み
家賃保証会社は、入居者が家賃を支払えなかった場合に、代わりに家賃を立て替えてオーナーへ支払う業者です。借主は入居契約時に保証料を支払い、保証契約を結びます。いざというとき、オーナーは賃料の未回収を回避できるという点で、重要なリスクヘッジ手段です。
● すべてを任せられるわけではない
ただし、家賃保証=無条件での支払い保証ではありません。保証を受けるには、オーナーからの滞納報告や必要書類の提出、期日の厳守など、契約上の条件を満たすことが必要不可欠です。知らず知らずのうちに報告が遅れたり、手続きを怠った場合、本来支払われるはずの保証金が支払われないこともあります。
つまり、保証会社の存在は“安心の材料”にはなりますが、“すべてを自動で処理してくれる存在”ではないということです。
2.滞納発生時の基本対応フロー
オーナーが適切なフローを踏まなければ、保証が受けられなくなるリスクがあります。一般的な滞納時の対応ステップは以下の通りです。
● ステップ1:入金確認と初動連絡
毎月の入金確認を行い、滞納が確認されたらまずは入居者へ連絡を取り、事情を確認します。振込忘れや口座変更など、単純なミスである場合もあるため、落ち着いて確認を取ることが大切です。
● ステップ2:保証会社への報告
ほとんどの保証会社は、滞納発生日から数日以内の報告を求めています。「発生日から10日以内に通知」「書面による報告が必要」などの条件をクリアしていなければ、保証対象外となることもあるため注意が必要です。
● ステップ3:保証会社の督促と代位弁済
報告を受けた保証会社は、借主に対して督促を行い、それでも支払われない場合にはオーナーに家賃を立て替えます。なお、保証内容は会社によって異なり、立替までの期間や保証対象の範囲(原状回復費用や法的費用を含むかなど)に差があるため、契約内容の確認が不可欠です。
3.滞納対応におけるリスクと見落としがちな課題
● 手続きの煩雑さとミスによる損失
一見すると、保証会社が立て替えてくれるので楽に思えるかもしれませんが、実際には報告・通知・連絡・書類管理などの煩雑な業務が多く、そのひとつでもミスがあると、「保証が受けられない」という最悪の結果につながります。
例えば以下のような事例があります:
- 滞納後の報告が数日遅れただけで保証対象外
- 必要書類が不足していたため支払いが保留
- 代位弁済後の対応を怠り、保証会社との関係が悪化
このように、「小さなミス」が「大きな損失」に繋がる可能性は決して小さくありません。

● 対応遅延による入居者トラブル
また、入居者との直接交渉が長引くと、感情的な対立や言い争いに発展するリスクもあります。冷静に事務処理を進めるべき局面で、個人的なやり取りがトラブルの火種になってしまうこともあります。
4.保証会社選定の重要性
● 「どこでも同じ」ではない保証会社の実力差
保証会社は数多く存在しますが、その内容や対応力は一様ではありません。例えば以下の点に差があります。
- 代位弁済までのスピード
- 審査の厳しさや通過率
- 滞納回数による対応の違い
- 法的対応までのフロー
- 保証対象の範囲(滞納家賃だけか、原状回復費用等その他費用も含むか)
見かけ上の保証料の安さに惑わされず、内容をしっかり比較することが重要です。
● 管理体制との相性も重要
保証会社がどれだけ優れていても、連携体制や手続きの相性が悪ければ、スムーズな滞納処理は難しくなります。保証会社と日常的にやり取りしている相手が、対応経験の浅いオーナー個人よりも、賃貸実務に通じた事業者である方が、トラブル対応も円滑に進む傾向があります。
保証会社選びにおいては、普段の運用との親和性、手続きの負担軽減、報告精度の確保などの観点も見逃せません。
5.対応体制を整えることの意義とは
保証会社の導入は、たしかに大きな安心材料になります。しかし、その効果を最大限に発揮させるためには、それに見合った対応体制の構築が欠かせません。
例えば、契約内容の把握、定期的な入金確認、必要書類の作成、報告期限の管理、入居者との調整、トラブル時の初動対応など、業務の一つ一つに“タイミング”と“正確さ”が求められます。
こうした業務が滞りなく運用されることで、はじめて保証会社の存在が「意味のあるもの」となるのです。逆にいえば、対応体制が整っていない状態で保証会社だけに頼るのは、片手落ちのリスク管理にすぎません。
まとめ:保証会社の活用は「仕組み」と「体制」の両輪で
かつてのように「連帯保証人さえいれば大丈夫」という時代は終わり、現代の賃貸経営においては、保証会社の活用が“当たり前”になっています。それは、保証会社の存在がもはや“保険”として不可欠な時代に突入したことを示しています。
しかし、保証会社の力を真に活かすためには、その仕組みを理解し、適切に連携できる体制が整っていることが大前提です。
いま一度、自身の賃貸経営を見直し、「もし明日、滞納が発生したら、自分は何をどう動くべきか?」という視点で、備えを確認しておくことが、安定経営への第一歩となるでしょう。
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