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家賃未払いの滞納者を強制退去させる目安とは?強制退去の手順や対策について
家賃未払いの滞納者を強制退去させる目安とは?強制退去の手順や対策について
賃貸経営において、家賃の滞納は避けられない問題の一つです。特に長期間にわたる滞納が続くと、オーナーの収益に悪影響を与えるだけでなく、強制退去の手続きが必要になることもあります。しかし、日本の法律では借主の権利が強く保護されているため、強制退去を実施するには慎重な対応と適切な手続きが求められます。
本記事では、家賃未払い者を強制退去させるための目安や手順を詳しく解説し、未然に防ぐための対策についても紹介します。

1. 家賃未払いが発生する原因と滞納者の特徴
家賃の滞納が発生する理由はさまざまですが、主に経済的な問題、借主のモラルの欠如、管理や契約上の問題の3つに分類されます。
(1) 経済的な問題による滞納
家賃滞納の多くは、借主の収入の減少や突発的な支出によって発生します。例えば、突然の失業や転職によって給与が減少し、家賃を支払う余裕がなくなるケースがあります。また、大きな病気やケガをした際に高額な医療費がかかり、家賃の支払いが後回しになってしまうこともあります。さらに、クレジットカードの支払いや消費者金融への返済が優先され、結果的に家賃が滞納されるケースも見られます。
このような場合、借主には支払う意思があっても、実際に支払う資金がないため、柔軟な対応が求められます。例えば、オーナー側が分割払いを提案したり、一時的な支払い猶予を認めたりすることで、問題が解決することもあります。
(2) 意図的な滞納やモラルの欠如
一方で、借主のモラルの問題により、家賃の滞納が発生することもあります。例えば、入居時から家賃を支払うつもりがない悪質な入居者も存在します。また、家賃を支払う資金はあるものの、ギャンブルや遊興費に使ってしまい、支払いを後回しにするケースもあります。こうした滞納者は、督促をしても誠実に対応しないことが多く、最終的には法的措置を取らざるを得ない場合があります。
このようなケースでは、電話や書面での督促だけでは解決が難しいため、契約解除の通知や法的手続きを早めに進めることが重要です。
(3) 管理や契約上の問題
滞納の原因は借主側だけでなく、オーナーや管理会社の対応不足に起因することもあります。例えば、家賃督促の頻度が少なく、滞納が発生しても対応が遅れると、借主が「多少の滞納は許される」と認識してしまうことがあります。また、契約内容が曖昧で、滞納時の対応が明確に決められていない場合、法的な根拠が不足し、迅速な対応が難しくなることがあります。
このような問題を防ぐためには、契約書の内容を明確にし、滞納時の対応について具体的に記載しておくことが重要です。さらに、家賃の支払い状況を定期的に確認し、滞納が発生した場合にはすぐに督促を行う体制を整えることが求められます。
2. 家賃滞納者を強制退去させる目安と手順
(1) 強制退去を検討すべき基準
家賃滞納が発生したからといって、すぐに強制退去を求めることはできません。日本では借主の権利が強く保護されているため、法的な手続きを踏む必要があります。
一般的には、家賃滞納が3カ月以上続いた場合に契約解除および強制退去が認められるケースが多いです。ただし、滞納期間が3カ月に満たなくても、借主に支払いの意思が全く見られない場合や、迷惑行為や違法行為などの契約違反がある場合には、より早期に対応することが必要です。
(2) 強制退去までの具体的な手順
強制退去を進める際の一般的な手順は以下の通りです。
- 初期対応(滞納発生直後)
家賃の滞納が発生した場合、まずは電話や書面で迅速に督促を行います。特に、口座引き落としのミスや単なる支払い忘れが原因である場合、この段階で解決することが多いため、早めの対応が重要です。
- 内容証明郵便の送付
督促を行っても支払いがない場合は、契約解除の可能性を通知する内容証明郵便を送付します。これにより、借主に対して法的措置を視野に入れていることを明確に伝え、対応を促すことができます。
- 契約解除の正式通知
滞納が続く場合、契約解除を正式に通知します。この時点で借主が自主的に退去しない場合は、裁判手続きに進む必要があります。
- 建物明け渡し訴訟の提起
地方裁判所に訴訟を提起し、明け渡し判決を得ます。訴訟には通常、数カ月から半年程度の時間がかかるため、早めに対応を進めることが重要です。
- 強制執行の申立て
裁判所の判決後も退去が行われない場合、執行官を通じて強制退去を実施します。この手続きを行うことで、法的に借主を退去させることが可能になります。

3. 家賃滞納を未然に防ぐための対策
家賃滞納を防ぐためには、事前の対策が重要です。
(1) 入居審査の厳格化
入居者を選定する際には、安定した収入があるかを確認することが必要です。具体的には、給与明細や納税証明書の提出を求めることで、支払い能力を確認できます。また、家賃保証会社の利用を義務付けることで、万が一の滞納時にもオーナーの損失を防ぐことができます。
(2) 契約内容の明確化
契約書の内容を見直し、滞納時の対応について具体的に記載しておくことが大切です。例えば、遅延損害金の設定や契約解除の条件を明確に定めることで、トラブルを未然に防ぎやすくなります。
(3) 定期的な家賃管理の徹底
日常的に家賃の支払い状況を確認し、滞納が発生した場合には早期に対応することが重要です。迅速に督促を行うことで、長期の滞納を防ぐことができます。
4. まとめ:適切な管理で安定経営を実現する
家賃滞納は賃貸経営における大きなリスクですが、事前の対策や適切な対応を行うことで、その影響を最小限に抑えることができます。
入居者の選定、契約内容の見直し、日常的な管理の徹底を通じて、滞納のリスクを抑えましょう。また、滞納が発生した場合には迅速に対応し、必要に応じて専門家や管理会社の力を借りることも視野に入れるべきです。
賃貸経営を安定させるためには、オーナー自身の負担を減らし、効率的な管理体制を構築することが不可欠です。
私どもLCマネジメントでは、不動産の専門家として管理委託から売却までオーナー様の大切な資産を有効に活用するための提案を行っております。
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